初海を着物の上から縄を掛け始める。
さっき抱いたばかりなのに、縄を持つ自分の手が緊張しているのか冷たくなっているが、着物の上からだから初海には気取られていないだろう。

金曜の夜、土日は休み、小さいが一軒家だから誰にも遠慮はいらない。
天井の電灯を消すと、開けたままの窓から庭の虫の音が聞こえて来る。

しゅっ、しゅっ縄の擦れる音がわずかに部屋の中で響くだけだ。
上半身を縛り終え、初海が不用意に倒れないように、鴨居に縄端を括り付けてから、冷蔵庫から冷酒を一本持ってきて椅子に座った。

夢にまで見た光景。

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これを、実現できる。

キッチンの明かりだけで、妖しく見える初海の姿を眺めながら、
「貞操帯なんて、どうやって手に入れたんだ?」
と訊く。

「この前、なんか気乗りされてないみたいだったから」

「いや、どうしてじゃなく、どうやってと訊いたんだ」
「はぐらかさせてくれないんですねー」
と、うっすら笑う。

「当たり前だ。そんなに言うのは恥ずかしいか」
「いえ、言ったら味気ないもので」

「なんだ?厭らしいサイトで買ったとかいうのか?」
「はい、それも、アマゾンで」

「ははは、確かに興ざめだ」
「でしょう?」

「でも、それを着ければ、俺が興奮すると思ったんだな?」
「ええ、買った甲斐が有りました」

「いやらしい女だ」
「貴方に好かれたいだけの健気な女です」

「まあ、いい、初海のことは最初から抱きたいと思っていたから。ただ、この前は、ふん切れていなかっただけだ、心配をかけたな」

「いえ、いいんです。こうなれたんですから」

「さて、これから、どうされたい?」

「今日から私は、ご主人様のものです。私の心も身体も何でもご自由にしてくださいと、さっき申し上げたのですから」

「何でもしていいと言われてしまうと、つまらないものだ。じゃあ、して欲しくないことを言ってみろ」

「そしたら、それをしないでくれますか?」

「そんな素直なSが居るもんか」
「でしたら、私のお〇んこを虐めないでください。見るのも嫌です」

「はっきり言うもんだなー」

「言えとおっしゃるから」

私はコップ酒を飲み干してから立ち上がって、初海の前の胡坐をかいた。